〜夜の蝶〜



    ある初夏の休日の昼下がり、RUNAに呼ばれて庭に行くと

    「げっ……」

   植えていた桜の苗木に、たくさんの毛虫が付いていた。葉っぱはほとんど無くなっている。

   ……オレは毛虫が苦手なんだ……

    「ご主人様……、どうしたらいいでしょうか……」

   と、RUNA。

    話を聞くと、このままでは桜がかわいそうだが、駆除すると毛虫がかわいそうだという事らしい。

    そのままにしておくわけにはいかないが、毛虫を素手では触りたくないので、軍手と、なるべく長いピンセットを

   探しに行こうとすると

    「あら〜、早く駆除しないとダメよ〜」

   と、様子を見ていた愛羅が素早く毛虫を払い落とした。そのまま毛虫を踏み潰そうとした愛羅に対し

    「おねがい、殺さないで」と、RUNA。必死に愛羅を止めようとしていた。





    「こっちがアリアちゃんで、こっちがミスズちゃん、そしてこっちがマイちゃん。」

   結局、毛虫はウチで飼うことになった。

   世話はRUNAがして、餌の葉っぱは愛羅とアイリスが調達することになったらしい。

   ……どうでもいいけど名前付けるなよココ。それと飼育箱はオレの目につかない所に置いてくれ!……





    一ヶ月ほど後。

   毛虫たちは成長して蛾になった。そして自然にかえすこととなった。

    「ばいば〜い、ちょうちょさん!」

   元気に手をふるココ。

   ……いや、それは蛾だって……。RUNAは涙をうかべて見送っている。

   その様子を愛羅が苦笑いしながら見ていた。

   月明かりに照らされながら飛んで行く蛾の群れを見ながらオレは考えていた。

   今度からはRUNAに内緒で殺虫剤を散布しておくべきだろうかと。






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