〜スタンドさん〜



    萌須田社の駐車場にて。主人公の先輩が会社の車で出張しようとするが、肝心の車が動かない。

   そこにできたばかりの新AI「さくら」が通りかかって……。



   「んむ、こりゃ困った。」

   「どうかなされましたか?」

   「ふむ。このクルマ、エンジン掛けると変な音がして動かねえんだ。」

   「動かない…?どこか具合でも悪いのでしょうか?」

   「うーん、まだ新しいのに。変だなぁ、何だろう。」

   「聞いてみたらどうですか?」

   「とりあえず、近くのスタンドまで持っていければいいんだけど。」

   「大丈夫ですか?」

   「うん。別の車で牽引できれば大丈夫だろう。」

   「大丈夫ですかー?」

   「…ん?」

   「クルマさーん、大丈夫ですかー?」

   「えっと、『さくら』だったっけ?何してるの?」

   「はい、容体を尋ねて…」

   「はっは、クルマに?クルマが喋れるのか。」

   「お話、できないのですか?」

   「それは、まあ当たり前だよ。」

   「そんなに具合が悪いのですか?」

   「は?」

   「大変、すぐにお運びしましょう!」

   「は、運ぶって?」

   「動けますか、クルマさん!」

   「さ、さくら?あの、もういいから…。」

   「ダメです!手遅れになってしまいます!」

   「手遅れって、もう手遅れなんだし…。」

   「え!?それなら、もう助からないのですか?」

   「いやだからね、スタンドに持っていけば…。」

   「そのスタンドさんは、クルマさんを助けられるのですか?」

   「あ?…ああ、まあ。」

   「すぐに参りましょう!」

   「参りましょうって……お、おい!」

   「う〜ん、よいしょッ!」

   「な、何をするんだ!?」

   「私がッ、クルマさんを…うーん!お運びいたしますッ!」

   「やや、やめろ!なに担いでんだ、ブチ壊れちまうよ!」

   「すぐに、うーんッ。お運びしますから。さあ参りましょう!」

   「おい、出ていくんじゃない!止まるんだ!」

   「スタンドさあぁーん!」

   「待て!はああ、クルマがパアになったら俺はクビだ!」

   「スタンドさあぁーん!」

   「待てェーッ!」



   ………


   クルマを担いで街を走り回るさくらは、すぐさまパトカーに止められ、先輩は大目玉を食らった。


    



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