〜バトル・オブ・モエスタB〜





   「それじゃあ、お二人とも頑張ってくださいね♪」

   想果に見送られて、ミキとラグナを乗せたひかり号東京行きは静岡駅から発車した。

   指定席に座った二人はおそろいのセーラー服だった。剣道の竹刀や防具を収めるケースが、

   荷物棚に置かれている。

   試合に向かう女子剣道部員。

   無用な誤解を招かずにラグナの剣と装備を運ぶための、アイデアだった。ミキもいつもの指を切った

   革のグローブを外し、ハーフコートを羽織っている。

   「……そういえば、ミキさんは今、あのショットガンを持っているんですよね?」

   「ええ」

   「見たところ手ぶらですが……どこに?」

   「ひみつ♪」

   「那津海さんも、現在移動中なんですよね」

   「予定通りなら、東京駅で合流できるはずです」

   「いよいよミキさんとご一緒させて頂くことができるんですね」

   「そうですね。でも、まさかこんな形でとは思いませんでしたけど」

   「那津海さんとも……初めてですね」

   「ええ。一体どうなるのかな」

   「萌須田社の総力を挙げての仕事……果たしてどんなことなんでしょうか」

   「少なくとも、生半可じゃないのは間違いありませんね。私たちの能力を調べるためにあんなやり方まで

    したくらいだもの」

   「……そうですね」




    そのころ、萌須田社東京本社では、3人を迎えるための準備が進められていた。

   「さくらちゃん、どうしてこんなにいっぱいお料理用意するの?」

    キッチンでさくらが用意している大量の料理を目にしたココが、目を丸くする。

   「ああ、ダンナ様のお言いつけです。ミキさんは1日4000キロカロリー必要だから、とにかくたくさん

    用意するようにと」

   「よんせん……?」

   「成人男性の1日の摂取カロリー基準の……倍近く」

    首をかしげるココの横で、音夢がぽつりと言った。

   「でも……どんな方たちなんでしょうか」

    RUNAと一緒にテーブルを移動させながら、ユズが言った。

   「話を聞いた限りでは、ラグナさんは非常に冷静沈着なようですが、ミキさんは相当過激だと」

   「ああ、うん。聞いた聞いた。駐車場の車を何台も壊したって。守璃ちゃん、あと少しで火に巻かれる

    ところだったって……」

    ココの横で、RUNAがおびえたように口元に手をやった。

   「ははは……。大丈夫だよ。そんな乱暴な人じゃない」

   「マスター」

   「みんな素敵なロボットだよ。きっとみんなとも仲良くやっていける」




    新幹線は東京駅に到着した。

   「すごい人ですね……」

   「浜松じゃ、まず見られない光景ですね」

    装備しているGPSに従って、那津海との合流地点へと向かう二人。

    やがて、アプローチ地点に到着した。

    ミキとラグナの着ている青いセーラー服とはまったく異なる、紺色の優雅ななデザインの制服。

    すらりと背の高い、ロングヘアーの女性がそこにいた。

    二人が近づくと、女性は優美に微笑み、

   「ごきげんよう。東北萌須田社・仙台北営業所の那津海ですわ」

   「静岡支社・西部営業所から参りました。ミキです。そしてこちらが……」

   「萌須田社静岡西部営業所所属・ラグナです」










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