〜RUNA・はじめてのおつかい〜



    RUNAが愛羅ちゃんと買い物から帰ってきたときのことでした。

    「あら?おしょうゆと…あと明日のパンも!う〜ん、けっこう買い忘れちゃったかなあ」

   12月の外はとても寒くて、RUNAは寒さにふるえてしまいそうでした。空からは時々白い綿雪が舞い降りて

   くることもあって、ふわふわで温かそうなのに、ちょっと触れてみたらあまりにつめたくて、びっくりしたことも

   ありました。

    「う〜ん、クリスマスパーティのこと考えすぎちゃったのかなあ」

   愛羅ちゃんが何か考え事を続けています。クリスマスパーティは…ご主人様には内緒で準備を進めています。

   ご主人様をびっくりさせたいって、愛羅ちゃんが楽しそうにいろいろ考えてくれたんです。ココちゃんとアイリス

   ちゃんにも手伝ってもらいながら準備を進め、クリスマスイブまであと3日…

    ほんとうは、こういうパーティなら、ご主人様といっしょに作っていきたかったけど…こうした方が、ご主人様が

   喜んでくれるのなら、RUNAはちょっと淋しくてもがんばってみようと思いました。

    で、愛羅ちゃん、どうしたのかな…?

    「愛羅ちゃん、どうしたの…?」

    「実はね、ちょっといろいろ買い忘れちゃったみたいなの。調味料少しと、明日のパンと…それとツリーの材料

     ちょっとね。」




    「よ、お帰り。寒かっただろう?」

   出迎えてくれたご主人様が、荷物を取り分けてくれます。RUNAはいつものくせで、すぐにご主人様の後ろに

   回りこんでしまいました。いつも以上に温かい背中。外はとても寒かったから…

    「こ、こら、あのな、ちゃんと片付け終わってから…」

    「うふ、いいじゃない〜本当はわたしがそうしたいくらいよ♪」

   愛羅ちゃんはそう言いながらご主人様といっしょに荷物を出し始めました。

    「やれやれ、アイリスとココもちょっと遠くまで買い物に行くとか言ってまだ帰ってこないし…」

   ご主人様がつぶやいてます。

    …実は、アイリスちゃんとココちゃんは、お買い物に行ったんじゃないくて、萌須田社にトナカイを取りに行った

   のです。もちろん、ご主人様にはまだ内緒にしてあるけど…こうやって、ご主人様に秘密とかナイショとか、

   いっぱい作っていると、なにかのはずみでRUNAの口からこぼれてしまいそうです。早くクリスマスにならない

   かな…

    「たまねぎと、キャベツと…ん?そういえば醤油と食パンは?」

    「あら…ホントだ、足りないみたい。ごめんね〜忘れてきちゃった」

   愛羅ちゃんはちょっと考えこみながら頭をかいてます。ちょっぴり申し訳なさそうな顔をしながら。

    「仕方ないなあ。これくらいなら何とかなるし、明日の朝は残りでなんとかなるからいいか。

     2人とも、寒い中ありがとうな」

    「う〜ん…」

   愛羅ちゃんの考えこむ顔が、ますますむずかしくなったような気がしました。ご主人様はわたしたちを怒ったわけ

   ではありませんでした。逆にやさしい言葉をかけてくれたりして…

    でも、買い忘れたものの中には、こっそり作っていたクリスマスツリーの材料もありました。お店が明日休みだって

   聞いたから今日出かけたのに…これじゃ、ツリーが間に合わない…!

    愛羅ちゃんも、ツリーのことを考えてるから、難しい顔をしているのだと思います。

    「やっぱりわたし、もう一度ササっと行ってきちゃうね、キミ、もうちょっと待ってて!」

    「ちょっと待ってくれ。さすがにもう夕食を作り始めないとキツイ…俺は平気だけど、戻ってきたココたちが

     すぐ食べられるようにしておきたいし」

    「あ…そっか」

   このままでは今日は買い物に行けそうにありません。ツリーの材料はあさって買いに行って、急いで作り上げる

   しかなさそうだけど…そうやって、キレイに作れるかな…ちょっと、自信がありません。

    RUNAにもお料理機能、ついてればよかったのにな…

    RUNAにも…って、あれ?

    そうだ、愛羅ちゃんがお料理のために家にいなきゃいけなくて、ツリーのことを秘密にするために、ご主人様が

   外に出るわけにいかないのなら…!

    RUNAは、ご主人様の上着のすそをきゅっと引っ張りました。いつもより、ちょっと強めに。

    「…ん?どうしたRUNA?」

    「………」

   RUNAは、ちょっとだけためらってしまいました。だって、これから口にしようとしていることは…今までで、

   いちばんの冒険になるに違いないことだから…

    でも、クリスマスツリーのため、ご主人様のため…!背中越しに、せいいっぱいの声を出しました。

    「る、RUNAが、もう一度行ってきます!お買い物に!」

   …い、言っちゃった!どうかな?ご主人様、喜んでくれるかな??

    「RUNA…」

   ご主人様は少し意外そうな、びっくりしたような顔をしていたように見えました。そして、後ろに向き直って、

   RUNAの顔をまっすぐに見つめながら言いました。

    「気持ちは嬉しいけど、そこまでしなくて大丈夫だよ。寒いし、それにもう夕方だ。暗くなるの、早いからな。」

   ご主人様はRUNAの頭をなでてくれながら、優しく言ってくれました。温かく、安心できる、ご主人様の手…

    …で、でも、このままじゃツリーが…!

    「ご、ご主人様…それでも、RUNA、あの、今日のうちに…!」

   なんとかひとりでお買い物に行きたいと、口に出そうとするけど、うまく言葉になりません。どうしよう…?

   RUNAが迷っていると、愛羅ちゃんが顔を輝かせて…

    「あら、RUNAちゃん、行ってきてくれるの?助かるわ〜」

   RUNAが言葉にできなかったところを助けてくれました!

    「おい!愛羅、それはちょっと…」

    「大丈夫よ〜。歩いて10分ちょっとのところだし。RUNAちゃんも道、覚えてるよね!」

    「う、うん。大丈夫…!」

   愛羅ちゃんが片目をつぶって合図を送ってくれます。うまくいきそう…かな?

    「しかしなあ…RUNAひとりで…それは…」

   ご主人様が首をかしげている間に、愛羅ちゃんはメモにペンを滑らせて、RUNAに渡してくれました。そこには

   買ってくるものと、お店の名前が書いてあります。おしょうゆと、食パンと…ツリーの飾り!最後のだけちょっと

   強めに書いてある…愛羅ちゃんも、楽しみにしてるんだ。

    がんばって、買ってこなきゃ!そして帰ってきたら、今度はもっとしっかりとご主人様の背中に甘えたいもの。

    「おい、やっぱり俺もいっしょに…」

    「じゃ、RUNAちゃん、がんばってねー♪♪」

   ご主人様に引き止められる前に、愛羅ちゃんが送り出してくれました。ごめんなさい、ご主人様…

   でも、しっかりと買い物を終えることができれば、ちゃんとクリスマスが楽しめるから…RUNA、がんばります!




    「……帰ってこないか。そりゃそうだ。まだ2分も経ってない。」

    「うふふ、キミってば、すごくそわそわしてる!」

    「しない方がどうかしてるよ!ああ、また日がかげってきた…

     ダメだ、落ち着かない!やっぱり追いかけていっしょに行く!」

    「ま、待って待って!」

    「夕食は遅れてもいいよ。とにかくRUNAが心配で心配で…」

    「それならわたしも行くわ〜。でもちょっとだけ準備させてね。んしょ、よいしょっと…」

    「…愛羅?コートとマフラーは分かるんだけど…なんでサングラスまで?」

    「え?あ!ほら、ちょっと前にやってたじゃない。小さい子がお買い物に行く番組。

     せっかくだから、RUNAちゃんに見つからないようにした方がおもしろいじゃない!」

    「愛羅、テレビの見すぎ…仕方ないなあ、もう…」

    「見て見て!相合マフラー♪」

    「だからもう、早く追いかけないと!…うぐぐぐぐ、ちょっと、愛羅、このマフラー、このままで行くの?」

    「いいじゃない〜。ね?」





    書いてあるメモをもういちど見直してみると…おしょうゆと、食パンと、ツリーの飾り…おしょうゆと食パンは

   同じスーパーで買えるけど、ツリーの飾りだけは違うお店にしか売っていません。これだけは、忘れないように

   しないと…!

    えと、飾りの売っているお店はスーパーのちょっと手前にあったよね?先に、そこに行こうかな…信号を

   渡って、角を右に曲がって…

    あれ?行き止まり?

    少し戻って考え直さないと…信号のところまで戻ってみることにします。あれ?交差点はあるけど信号が

   ない…?

    「どうしよう…」

    RUNAはすっかり困って、悲しくなってしまいました。まわりの人は足早に通りすぎていきます。決して人は

   少なくなかったけれど、なんだかRUNAひとりしかいないような、心細い気持ちになってしまいました。

    祈る気持ちでうつむいていると、赤いポストの上に猫ちゃんがお昼寝しているのが見えました。うすく目を

   開いていて、まるでRUNAをじっと見つめているみたい…

    「猫ちゃんは、知ってる…?」

   RUNAはすがる思いで猫ちゃんの目をじっと見つめながら、たずねてみました。すると…起き上がった猫ちゃんは

   ひらりとポストから降りると、軽い足取りで足音も立てないで歩き始めました。時折RUNAの方を振り向いて、

   じいっと見つめ返してきます。

    「ついていけば…いいのかな?」

   RUNAは猫ちゃんに道案内をお願いすることにしました。




    「おい、RUNAってば…猫について行ってるぞ!?」

    「間違いじゃないかもしれないよ?このあたりのこと、よく知ってそうだし…」

    「ああ〜また道それた…」

    「!(あっちはたしかツリーの飾り売ってるところ…猫…動物使い!そういうことね!)」

    「すぐに追いつかないと…ああー、信号早く青になれ…」

    「大丈夫、大丈夫、あの道たしか行き止まりだから、すぐ戻ってくるよ?」

    「…猫について、ヘンなとこ行かないか、そっちの方が心配なんだ…」





    「ありがとうございましたー!」

   店員さんの大きなあいさつを聞きながら店の外に出ると、猫ちゃんが待っててくれています。ツリーの飾りは、

   愛羅ちゃんがメモ書きで丁寧に書いてくれていたので、間違えませんでした。RUNAの手にはツリーの飾りが

   入った袋がひとつ。飾りがこぼれないように、しっかりと袋の中に押しながら猫ちゃんの後をついていきます。

    大通りに出ると、そこはさっきの道。よかった…今度は迷ってないみたい。

    「ありがとう、猫ちゃん」

    「にゃ〜」

   そう言うと猫ちゃんはひとつおおきなあくびをして、道端で再びお昼寝を始めました。




    「RUNA、やっと出てきたな…ん?あの紙袋はなんだ??」

    「ああ、あれ。実はね、わたしが個人的にお願いしてたものなの。」

    「あ…そうだったのか。一体何を?」

    「ちょっとね、ガーデニングの道具をね。実はわたしがお花育てられるってこと、忘れてた?」

    「わ、忘れてたわけじゃないけど…そっか、そうだったんだ」

    「(植物つながりで、ウソはついてないわね♪)」





   あと買わなきゃいけないのはおしょうゆと食パンだけ。スーパーの場所は、さっき愛羅ちゃんと一緒に行ってきた

   ところだから、ここは迷わずに来ることができました。中は外よりあたたかい風が吹いていて、ほっと一息…

    早く探して、ご主人様のところへ帰らないと!




   「ふーっ、何とかたどりつけたみたいだ。でも意外としっかりしてるんだな、RUNAって。」

   「そうねえ、ひとりでちゃんとここまで来れたんだもの」

   「愛羅とここに来たんだから、もう問題は…あ!紙袋、紙袋!置きっぱなし!大丈夫、忘れてない、セーフ…

    あああ、やっぱりまだ不安だな…」

   「それにしてもキミ、サングラスけっこう似合ってる♪」

   「からかわないでくれよ…普段こんなのつけないんだから…」

   「あれ?RUNAちゃん、また同じところをぐるぐる…」

   「もしかして…売り場がわからないのか?」





   …1人でやってきたスーパーの中は、なんだか愛羅ちゃんと来たときよりも大きくなっているような気がします。

   ぐるぐる、ぐるぐる…同じところを、迷路のように。ここにはジャムのびんが積んであるけど…食パンって、ジャムの

   近くに置いていないのかな…?

    この列には…ないみたい。じゃあ、次の列…ここにもない。あれ?さっき列を飛ばしちゃったのかな?それとも

   見落としただけ?そう考え始めると、どんどん不安になって、同じところを何度も見直したくなってきます。それを

   繰り返しているうちに迷路の形まで変わってくる気がして…

    はじめのうちは何ともなかった、品物を積んでいる棚まで、なんだかRUNAのことを押しつぶして来るように

   見えてしまいます。お願いだから、RUNAにいじわるしないで…ね…




   「ダメだ!もう、助けてやるしかない!」

   「待って。もうちょっとだけ、見てみない?」

   「うーん…仕方ない、愛羅、ちょっと帽子貸して」

   「え?あ…」

   「コートに、サングラスに、帽子…!これで、俺だってわからないだろ?どうせなら愛羅が見てた番組みたいに

    正体わからないようにするから」

   「そうね!じゃ、気付かれないようにね」





    「ふー、やれやれ、食パンはどこだー?おお、あっちかー!見落とすところだったー!!」

   急にRUNAの後ろから少しくぐもった声が聞こえてきました。びっくりして振り返ってみると、帽子とコートと…

   顔は…わかりません。とにかく、少し厚着をした感じの人が走っていきました。

    あの人も、食パンを探しているのかな?ついていったら、わかるかな…?

    帽子とコートに身を包んだその人は、途中、何度も止まってきょろきょろしながら走っていました。そのおかげで

   RUNAはなんとか見落とさずについて行くことができました。

    その先にあったのは…パン売り場!

    「おや困った、買いたいものはないみたいだ、しかたない。今日は帰るとしよう。」

    その人は買いたいものがなかったみたいで、パン売り場からすぐ離れていきました。でもRUNAにとっては…

   とても、とても大事な場所。6つ切りのパン…いつも家にある見た目のものが、きちんと並べられています。

   これを3つ、買い物かごに…!

    「よかった…」

   ほっとして、ひとつふうっと息をついていると、ふと床に何か光るものを見つけました。不思議に思って近づいて

   拾い上げてみると…丸い、茶色のボタンが落ちています。ちぎれた糸が4つの穴にからみついていて、誰かの

   服から外れてしまったみたいです。

    …もしかして、さっきパンを探してた人の?

    RUNAはあたりを見回しました。もしかしたらまだ近くにいるかもしれない。服のボタンを落として、あの人も

   きっと困ってる。見つけて、届けてあげなきゃ!食パンの入ったかごと、ツリーの飾りが入った紙袋を忘れない

   ようにしっかりと両手に持って…たしかこっちの方向に…




   「ナイス、ヒント!」

   「ふうう…われながらわざとらしい声の出し方だった…気付かれなかったかな?

    マスクもしてたし、少しは声を変えてたから大丈夫だと思うけど…」

   「だけどこうやってキミとふたりで動くのって、楽しいね♪」

   「冗談はやめてくれよ。遊びじゃな……?……!愛羅、隠れて、あっちに!RUNAがついて来てる!」

   「あら。どうしたのかな??」





    やっと見つけた!後ろ姿だけど、間違いなくパンを探していたあの人です。RUNAは、勇気をふりしぼって…

   なんとか、声をかけてみることにしました。

    「あ、あのっ…!」

    「コホッ…な、なにかな?」

   このひと、ちょっぴりカゼをひいているみたいです。だからこんなに厚着で、マスクまでしてたのかな…

    「こ、このボタン…落としたみたいで…」

   さっと、両手にボタンを乗せて、そのひとに差出しました。そのひとはなぜか振り返らなかったけれど右腕のそでに

   糸がほつれた跡があります。きっと、そこから外れてしまったんだと思います。

    「あ、ありがとう、お嬢ちゃん。わざわざ」

   コートの人はRUNAの手からボタンを取ると、大切そうに懐にしまいこんでいるようでした。サングラスとマスクを

   していて、顔はわからないけど…背丈は、ご主人様と同じくらいです。

    「それじゃ、お嬢ちゃんありがとう。じゃね」

    「あ、あのっ!すいません!おしょうゆって、どこに置いてあるかわかりますか??」

   おしょうゆの売り場もわからなかったので、思い切ってきいてみることにしました。このひとなら、知ってるかも…?

    「え?しょうゆ、か。それは…あっちの方。ほら、『調味料』って書いてある。足元の方にあったよ。」

    「あ、足元だったんだ。見上げてばかりだから、見つけられなかったんだ…

     あ、あの、すいません、ありがとうございました!」

   RUNAは精一杯のお礼を言いました。だって、この人がいなかったら、パンもおしょうゆも見つけられなかったから。

    「いやこちらこそ。じゃ、がんばってね、RU…」

    「…え?」

    「…ゴホゴホゴホ!いけない、急がないと、それじゃ!」

   …なんだか一瞬だけ、すごく聞き慣れた、心地よい声が聞こえたような気がしたけど…気のせいかな?

   そうだ!おしょうゆ、おしょうゆ!忘れないうちに!

    さっきの人に教えてもらった場所に行くと、棚の足元にずらりと並んで置いてありました。

    「ありがとう。RUNAのこと、待っててくれて。」

   これで、ご主人様のところに戻れる…!




   「ふうう、危ないところだった…まさかRUNAが追ってくるとは思わなかった…」

   「ホント、びっくりしたわね〜」

   「でも…知らない人にちゃんとああやって話しかけられるなんて…成長してるんだな、RUNAも」

   「んー…もしかしたら、キミだってこと感づいてたから話しかけられたのかもしれないよ?」

   「そ、そうか??」





    帰り道。クリスマスの歌が鳴り響く中、RUNAはまっすぐに家に向かっています。暗くなっても人通りは

   少なくなくて…逆に、多くなっているみたい。それにみんな、なんだか楽しそうな顔をしています。

    こうして見てみると、外の世界って、それほどこわいところではないような…そう思えてきます。

    さっきの、カゼをひいてたコートの人も…クリスマスを、楽しく過ごせるといいな。

    「おーい、RUNA〜」

   信号を渡りきったところで聞こえてきたのは…ご主人様の声!愛羅ちゃんもいっしょです。

    「心配だったから、迎えに来たぞ。お、しっかり買い物できたんだな」

    「ありがとうね、RUNAちゃん〜」

   ご主人様も愛羅ちゃんも、RUNAのことをほめてくれました。ちょっと冷たい冬の空だけど、こうやってみんなと

   いっしょにいられることを感じられるだけで…RUNAは、心から、暖かくなれるような気がします。

    「あのね、ご主人様、愛羅ちゃん、実はね、RUNA…売り場がどこなのか、すごく迷ってたの」

    「あらあ、大変だったわねえ。」

    「でもね、とても親切なひとがいて…売り場を教えてくれて…」

    「そうだったの〜よかったじゃない。」

    「あの人、どこに行ったのかな…」

    「うふ、意外と近くにいたりしてね!また会えたらお礼しなきゃ」

   愛羅ちゃんはウィンクしながら笑っています。ご主人様も…

    「ま、まあ、この街中にはいるんだろうなあ。今度会ったら、俺もちゃんと礼を言わないとな。」

   RUNAと同じことを考えてくれていました。

    …あれ?

    「ご主人様の背中…こんなに汗ばんでる…こんな、寒いのに…」

    「そ、そうか?まあ、わりと動いたからかな…?」

    「RUNAのこと、こんなに心配してくれてたんですね…」

    「そりゃあ、RUNAにとってはひとりでの、はじめてのお使いだったからなあ。心配しないといえばウソになる…」

   RUNAは、いつもよりきゅっとご主人様の背中に抱きつきました。

    「さ、早く戻りましょ。ココちゃんとアイリスちゃん、きっとおなかすかせてるわよ?」

    「ああ、そうだな」

   RUNAもこくんとうなずいて、3人とも足を速めていきました。

    家の裏の空き地には、今頃ココちゃんとアイリスちゃんが連れてきたトナカイがつながれているはずです。

   クリスマスイブまであと3日。RUNAたちにとって、生まれてはじめてのクリスマス。

    なんだか、RUNAのメモリー…思い出にずっと残りそうな、そんなすてきな予感がします。

    それはきっと、ずっと消えない思い出。ご主人様のぬくもりと、同じくらいに。







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